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そこで俺は気になっていたことを訊いてみることにした。
「なあ、レオ。昨日俺達が見た精霊って一体何なんだ?」
俺はまだ信じられないでいた。
あんな非常識なものが現実に存在するなんて。
「そのまま消えていくもの。そしてそれに抗っているもの。私が知ってるのはそれくらいね」
「え?」
昨日から思っていたが、こいつはたまに抽象的過ぎるようなことを言う。
「……じゃあ、何でリナを襲ったり、俺に罠を仕掛けたりしたんだ?」
「だから、足掻いてるのよ。そのまま消えたくないから。昨日リナって娘が襲われたのもその試行錯誤の中の一つね」
「そんな、人を巻き込んで、そんなこと……」
他人を不幸にしてまで幸せを追ってはいけない。
俺の親父の教えだ。
「タクマだって昨日精霊を殺して、リナって娘を助けたじゃない。同じよ」
あれと同じと言われるとなんだか少しイラっときた。
「俺はあんな化け物じゃないさ」
「……子供ね」
「は?」
レオは箸を置いて立ち上がると背伸びして、
「シャワー浴びるわ。お風呂場、どこ?」
そう言ってきた。
「玄関から近いとこ。洗濯機の隣の部屋だよ」
「そう」
何だろう。
どこかレオが怒っているように見えたのは気のせいだろうか。
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