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いや、しかし見れば見る程に美人なのだが。
と、横目でリナの横顔を眺めていたその時だった。
横を歩くリナの姿だけが一瞬ひどくぼやけた。
リナの姿が背景に溶けてしまうような、そんな不吉な感覚。
「何よ。じっとこっち見て」
「い、いや何でもない。多分気のせい」
まだ自分は寝ぼけているのだろうか。
しかし、奇妙なことに、この時もう二度とリナに会えなくなるような不安が走った。
まさか、リナが消えるなんてそんな馬鹿なことあるわけない。
リナは強い。
俺は知ってる。
「また、何ぼうっとしてるのよ。早く、このバカ」
いつの間にか少し前を行っていたリナが振り返って言った。
大丈夫、リナはいつも通り元気だ。
心配無い。
そうやって俺は強引に頭から不吉な予感を消しさったのだった。
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