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そう言えばリナのこと、朝のぼやけたリナの姿が気になっていた。
「ティル」
「何だよ。やっと俺と再戦してくれんのか」
「しねえよ。サイヤ人かお前は。じゃなくてさ、お前、リナ見てどう思う?」
俺の座席は窓側の一番後ろ。
リナの席は教室の真ん中辺りである。
「お前、だから俺はタイプじゃないって」
「いや、そうじゃなくて、なんか具合悪そう、とか無いか?」
「……いや、別に普通じゃね?俺にはいつも通りに見えるけど」
ティルが目を凝らしてリナを見てくれて何も無いというなら、気のせいだろう。
一体何に怯えていたというのか、俺は。
「何だよ。俺に言われたから心配したのか?俺は普段からお前に早起きしろって」
ティルが腰に手をついて言った。
「朝の決闘なんざやんねえよ。俺は朝弱いの」
多分普通に負けると思われる。
血圧とかの関係で。
その内にチャイムが鳴り、先生が入ってきた。
憂鬱なお勉強タイムの始まりである。
確か今日の授業は数学に世界史に語学、物理。
午後は体育に文化語か。
先生の話を聞き流し、俺はぼんやりとそんなことを考えていた。
たまにリナが気になった。
しかし見ても何も変わらないので、別にどうしたというわけでも無いのだが。
だがどこか、拭い切れない不安が、そう、確かにずっとあった。
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