第一章

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井上は動こうとしない。 仕方ないので昂が対応することにした。 「青木さんよ、井上の兄貴が動こうとしねぇんだ。わりぃが代わる事はできねぇな」 「え……なんで動こうとしないんでしょうか」 「うるせぇとっとと消えろや!」 昂は電話を切った。 するとすぐにまた電話がかかってきたがシカトした。 昂は黙って動かないしたっぱヤクザどもに声をかけた。 「ほら なにやってんだ!仕事せんかい!井上の兄貴のことは俺にまかせろ!」 すると、その声に起こされたかのように全員が動き始めた。 昂は井上の元へ駆け寄った。 「井上の兄貴!大丈夫ですって!あんな電話シカトすりゃ大丈夫ですよ」 「ああ………」 すると、次の瞬間、井上がいきなり苦しみ始めた。 「うがぁああっ!!」 「!?…井上兄貴??」 「昂ぁ昂ぁ昂ぁあ」 井上が昂のスーツにしがみついた。 「助け…ろ昂ぁあきら……アキラァッ…アキ…ラ…」 「兄貴……おい!!?」 「…ァ……ア……ァ………」 柄にもなく苦しんでいる。 「ア…オキ……ハ…アク…リョ…ダ…ノロ…ワレ…………」 昂のスーツから手が離れた。 そして、井上は原因不明で急死した。 葬儀は速やかに行われた。 「兄貴を殺したのは俺かもしれない……………………あの時あの電話を取らければよかったのに…」
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