第二章

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そこへ、昂の携帯に着信があった。 未登録のやつからだ。 「はいもしもし…誰?」 すると間を置いて 『その犬の元の飼い主だ』 と言われた。 「は?なんで俺のケー番知ってんだよ気持ち悪いな。名乗れ」 と、強気でいった。 すると…… 『青木 健太です』 昂は一瞬固まった。が、 平気なフリをした。 「青木か。何の用だ」 『犬を返せよ』 「あ?」 『俺のジョンだ』 「初めから捨てんなよ」 『いいから返せ』 「やなこった」 『返せ』 「知るか」 『返せ!』 「だったら捨てんなよ」 『返せ!!!』 すると昂の家の呼び鈴が連続で鳴った。 ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン… 子犬が吠え始めた。 『返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ!!!』 ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン!! 子犬が昂にすり寄った。 呼び鈴と「返せ」が鳴り止まない。 昂はゆっくり立ち上がり、玄関の鍵を開け、玄関のドアを勢いよく蹴り開けた。 「うるせぇぞコラ!!」 …すると玄関には誰もいない。携帯の電源が 消えている。 子犬は昂から離れようとはしなかった。 「何だったんだ…」
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