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そして犬はすくすくと成長していき、二三ヵ月ででかくなった。
それまで気付かなかった。犬の背中には大きな傷があった。
何やらおかしな模様を
している。
「あ?犬お前…傷なんかあったか…?」
犬の体を洗っている時に時に気付いた。
ブルブルブルッ!!!
犬は水を弾き飛ばした。
昂はびしょびしょになってしまった。
「犬てめぇっ!!!」
ゲンコツを食らわせた。
コンッといい音が浴槽に鳴り響いた。
「ウォウ!ウォウ!」
「吠えんなコラァ!!」
またゲンコツ。
「ヴヴヴヴ…ワウ!」
犬は鼻筋にかなりシワをよせ、吠えた。
「このクソ犬ぅ!!俺に向かって吠え……ん」
浴槽の窓から誰かが覗いているような気がした。
犬も窓にむかって吠えている。
「ワン!!ヴー…」
昂は浴槽の窓を開けた。
冷たい風がビューっとふき込んできた。
今度こそ、昂はびびった。
黒い髪の少女が目から血を流している。
赤い着物を着ている。
「な…なんだクソガキ」
すると、少女はニタリと笑った。笑い方が不自然だ。
口が耳辺りまで
裂けている。
目がだんだん大きくなっていく。
肌から何か赤いものが吹き出した。
それでもこちらを見て笑っている。
まだ目はだんだん大きくなっていた。
「このクソガキが!!!!」
昂は恐怖に耐えきれず、
ぶん殴った。
だが、手がすり抜けた。
『…ヤッチャッタネ…シラナイヨ…』
耳まで裂けた口で
そう言って…
スッと消えた。
「なんだってんだよ…」
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