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「お おい……犬」
「……」
また吐いた。
昂の車が汚れていく。
「大丈夫?車酔いか?」
犬は座席に丸まり、うずくまった。
「フー…フー…」
「炭酸でも飲ませてみるかな…」
適当な自販機の前で止まって「C.Cレモン」を買い与えた。
すると、飲んだ。
犬が炭酸を。
普通ならあり得ない。
昂は普通のことと思っている。
「治ったか!よかったなぁ
よし!出発だ!」
今度は犬を後ろに乗せた。
助手席は……考えるまでもなく、汚い。臭い。
犬はクーラーが効いた車の後ろの席で気持ちよさそうに寝ている。
「フフ.フーン…フ フ フゥッフーン……フフフンフーン…フフフーン…えーとこの次の信号を……」
なんて口ずさみながら、
確実に昂は青木に近づいて行った。
「信号がぁー変わったら…やっぱり人ごみの中に消えて行くーーんんだね…」
鼻歌から歌にかわった。
「いーーーーーーかーーーーなーーいでぇーー………ぼーーーーくぅのそーばーからぁーー……ん?」
昂の携帯にメールが来ていた。だが運転中なので、
信号が赤の時に見ることにした。
「いーーーーーかーーーーなーーいでぇーーー………もぉーー離しは…しないーからぁ……」
昂は熱唱しはじめた。
「もぉおーーー離しは………しないぃからぁ……」
完全に長〇剛になりきっていた。
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