第一章

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「お前 極道になってもう三年になるな。後輩にも少しはいい所見せろ」 井上が 太い葉巻に火をつけた。 「だからなんですかね?関係ないですよそんなん」 昂はコーヒーを入れた。 したっぱのヤクザのヒソヒソ声が聞こえる。 「井上さんにあんなこと言えるの昂兄貴だけだな」 「組長でさえ井上さんにはタメ口聞いてないしな」 「昂兄貴、肝座ってんな……」 それが聞こえた昂は 調子に乗る。 「井上兄貴…俺が極道になりたての頃にくらべたら、あんたちょっとハゲ…」 「てめぇちょっと態度がでけぇぞ コラ!!」 井上の本気ゲンコツが飛んできた。 「痛ぇー…何すんスカ」 井上は吸いかけの葉巻を 昂の机に押し付けて火を消した。
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