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昨日、僕は見てしまった。
金ちゃんは僕と付き合っているのに、先輩と金ちゃんが二人でターミナルのショッピングモールを楽しく歩いている所を…。
そう、まるで恋人同士みたいに…。
許せない!
まさか、こんな裏切られ方するなんて…。
取られたくない!
先輩なんかに金ちゃんを…。
誰かに取られるくらいなら…。
殺してやる!
金ちゃんを…。
●
そして僕は、ターミナルの階段で金ちゃんを待った。
ポケットにナイフを隠し持ちながら…。
金ちゃんがやって来た。
「どうしたんや?亀の字、なんかあったんか?」
いつもの笑顔で僕に問いかける。
何かあったかなんて…。
白々しい…!
もう、今更関係ないけどね…。
「金ちゃん…。」
僕がそう言いながら、顔を上げると…。
「っ!亀の字」
何故か金ちゃんは後ろに下がった。
…次の瞬間…
金ちゃんは階段を踏み外し、下へ転げ落ちた!
僕は、その瞬間我にかえった。
「うわあああっ!!!!!!金ちゃんっ!!!!」
僕の悲鳴で人が集まる。
金ちゃんは医務室へ運ばれた。
●
検査の結果、身体に異状は無いものの、頭を強打したらしく、記憶を失っていた。
内心僕は、金ちゃんの記憶が無くなってホッとしていた…。
あの時の僕の顔は尋常ではなかったはず…。
そんな顔を覚えていて欲しくなかった…。
ポケットのナイフはあれだけ強く握りしめていたのに、嫉妬の心と共に、すっかり冷たくなっていた。
僕は何をしようとしたのだろう…。
金ちゃんに合わせる顔がなく、僕は医務室を出て行った。
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