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そして、僕は自動販売機でジュースを買い、ベンチに座った。
変な気持ちと後悔の波が僕を襲う…。
あの時、手を伸ばせば、金ちゃんは落ちなくてすんだのでは…。
いや、伸ばせなかったじゃなく、伸ばさなかった…。
あの時、金ちゃんが死んでもいいと、思った…。
あんなに大好きで愛しているのに…。
そう、狂いそうなくらいに…。
なのに、僕は、見殺しにしようとした。
いや、それどころか、持っていたナイフで殺そうとした!
ダメだ、考えれば考えるほど、辛すぎる…。このジュースも美味しくない、だって…。
味がしない…。
僕は、ジュースを捨てその場を去った。
●
しばらく歩くと、向こうから、誰かが歩いてきた。
良太郎達だ。
「ウラタロス?どうかしたの?」
心配そうに僕を見る
僕は、微笑みながら
「いや、別に」
と、言うと、良太郎は金ちゃんの事を話始めた
「あのね、一応、僕達の名前は言っておいたから、えーっと、ウラタロスの事は、解るように説明しておいたから、大丈夫だよ。うん。」
良太郎が頑張って説明してくれるから、なんか笑ってしまった。
「何で笑うのさ!」
良太郎が怒る。
「いやいや、ごめんね」
僕が謝ると、良太郎が、話を続ける
「キンタロス、記憶なくした事、スゴく気にしてた…。さっきも、皆の事わからへんのは悪い気がするって言ってたし…。」
そうなんだ…。
「でも、僕は、少しづつ思い出してくれればいいって思ってるんだ。」
良太郎が笑いながら言うと、先輩もリュウタも笑顔で頷く。
僕も笑顔で
「そうだね。僕も、気長に待つよ。」
と、皆に言って、歩き始めた。
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