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「なんや、今日はお前だけか?」
「うーん、今日は皆、良太郎のお姉さんの手伝いに行ってるよ」
僕が説明すると、金ちゃんは笑いだした。
「あははは!お前、役にたたへんから、置いてかれたんやろ!」
な!
「ち、違うよ!失礼だな!」
「なんや、違うんか?」
金ちゃんが首をかしげる。
あぁ…。
何かこの感じ…。
懐かしいような気がする…。
僕と金ちゃんはこの後、下らない会話を暫く交した。
すると、金ちゃんが、
「なぁ、亀の字…。」
「何…。」
「ずっと、話てて思てんけど…。なんで」
ん?
「なんで、お前、悲しそうな顔してるん?」
え…!
嘘!
「今にも、泣きそうやないか…。」
「い、いや別に…。」
僕は慌てて、冷静を装う。
すると金ちゃんが
「どうしたんや?亀の字?なんかあったんか?」
…その言葉に凍り付いてしまった。
そう、あの時、あの階段で、金ちゃんが言った言葉…。
僕は、あの時、嫉妬心に任せて金ちゃんを殺そうとした!
たまたま、金ちゃんは階段を踏み外したけど、そうじゃなかったら…。
僕がこの手で金ちゃんを殺してた!!!!!
手が震える…。
涙が溢れる…。
金ちゃん!金ちゃん!
「…ごめんね…。」
僕は金ちゃんにしがみ付き泣きながら謝った…。
何度も、何度も、うわごとのように…。
金ちゃんの優しい手が僕の頭を撫でてくれた。
金ちゃんは、僕がなんで謝っているのかも聞かずに、ただ、ただ笑顔で頭を撫でてくれた…。
あぁ、やっぱり金ちゃんが大好きだ…。
この世の誰よりも…。
暫く僕は、金ちゃんの胸の中で、泣いた…。
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