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目が覚めると、そこはどことも知れぬ場所であった。
「……ここはどこ?」
呟いてみるが、答える者などいない。それもそうだ。辺りを見回してみても、自分以外誰もいないのだから。「自分以外」その言葉で、ある事に気がついた。
「……あれ?私……誰だ?」
いくら思考を巡らせても、自分に関する事を何も思い出せない。自分はどこの誰なのか?何故こんな所にいるのか?何故、スポーツブラにエプロンかけただけのような恰好なのか!?
「そこはトラベラー装備にでもしておこうよ!!」
かろうじて、一つだけ思い出せる事があった。それは、一つの名前である。
「炎……赤………?」
その、たった一つだけ思い出した、何かの名前を呟いてみる。それは、何の名前なのか?よく思い出せない。
「それがあなたの名前ですか?」
いきなり、そこになかったはずの女の声が聞こえた。慌てて跳び起き、声の主の方へと向く。
「………でか。」
そこには、何だかかなり大きな機械人形がいた。声の主はこのでっかいのなのだろうか?口とかないけど……。よくみると、その機械人形の上に、誰かが乗っている。機械人形の陰にやや隠れているので見えずらいが、どうやらメイド服を着た女であるらしい。声の主はそちらだ。
「そう警戒しないでください。別にあなたを攻撃しようなんて思っていませんから。それと……」
「何?」
「服を着てください。」
「だからそこはトラベラー装備着ているって事にしといてよ!!」
...少女着替中
攻撃する意思はないと言われても、こんなでかい物に乗られていてはどうしても警戒してしまう。それに、自分の事もわからないが、向こうの事もまったくわからない。いったいこの女は何者なのだろうか?本当に、この機械人形は攻撃してこないのだろうか?
「あなたはいったい誰なの?ここは、どこなの!?」
「私の名はツヴァイ。そして、ここは箱舟。数多の世界を内に収めた命の揺り篭。エルアークです。」
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