プロローグ

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腎臓の働かなくなった俺はオシッコが出ない。 トイレ行かなくていいし便利でいいじゃないかという奴もいるが、オシッコが出ないって事はいらないものが出ていかないって事だ。 毒素という物が溜まっていくと頭がぼんやりとして、ひどい時には吐いて食事は水以外喉を通らなくなる。 ダイエットが好きな女の子に言わせりゃこれも羨ましい事だと言うんだろうが、生憎俺にとっては生死を決めるほどのダメージとなる。 メシ食わないと肺に水が染み出すなんて普通思うか? 「秋谷くん、変わりないかな?」 自分の自棄的な思いに耽っていた俺は回診の時間をすっかり忘れていた。 「変わりありません」 今日は倉橋先生の回診日だったのか。 どうりで看護師が浮き足立ってると思った。
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