幸せの果て

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「いいわ。別に。あなた、行くところあるの?」 「………ない」 少しばかり露骨すぎる質問にイラッとした。いくら、罪に問われなくても派遣会社を首になっただろうし荷物もどうなってる事か……。 「そうよね、あなたさえ良ければうちに来ない?」 きっと何か企んでる。そうだ、そうに決まってる。 安田久美は何かを察した様に言った。 「あのね、確かに…タダではないわ。でも、そこそこ良い暮らしが出来るし、聞きたい事あるんじゃない?」 「それは…」 「出ていきたくなったら出ていけば良いわ、文句は言わないから。」 「じゃあ…」 俺が答えると安田久美は少し離れた所へ停まっていたタクシーに向かって歩き出した。その後をノソノソと付いて行く。 大丈夫だ、これ以上不幸になる訳ない。あんな思いをしたのだ。無言の車内で俺は自分に言い聞かせた。
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