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予想外の二限目が終わり、その後はいつもと変わらぬ授業時間をこなせば待ちに待った昼休み。
お弁当片手に友達と一緒に屋上へと行き、今はいなくなった絢乃の席に座ったのは雅貴。
その顔には何か企んだような笑みを湛えていた。
「ど、どうしたの?雅貴」
嫌な予感がして、少し後ずさりながら問えば案の定先刻の事を問われた。
「さっき、早乙女と何話してたんだよ?」
「べ・・・、別にちょっと・・・」
「ちょっと?告白でもされたか」
図星を指され、そこに先の彼女に言葉が重なって即座に顔が赤く染まる。
そのあからさまな反応に、今度は雅貴は困った様子を見せた。
「いや、ごめんごめん。そんな反応されるとは思ってなくてさ。よかったじゃん。で、返事どうしたんだ?」
「してない・・・」
「何でよ?可愛いじゃん早乙女。狙ってる奴結構いるぜ?嬉しくねぇの?」
嬉しくないわけじゃないけど・・・なんて口篭る冬麻に怪訝な表情を見せて、雅貴は続ける。
「何が気に食わないんだよ?」
「別に気に食わないわけじゃないよ。嬉しかったし・・・。でも・・・」
好きじゃないとやっぱり付き合えないと言えば、雅貴は呆気に取られたような顔をしていた。
「お前バカにしてんの?」
冬麻が思わずそう言いたくなる程度に、雅貴にしては珍しい反応だ。
いつもは大体茶化すか笑っているのに。
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