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午後の授業はからっきし頭に入らずに、放課後。
雅貴は一目散に部活へと向かう。いつもの事だ。
若干、自分に心配気な表情を見せていたような気もするが心が余所へ行ってしまったように戻ってこない。
もしかしたら自分のこの気持ちはただの執着で恋ではないのかもしれない…なんて、今更何を疑っているのだと自分で自分を言い聞かせてみれど、彼女の言葉が頭から離れなかった。
『別に恋愛はこれで終わりなわけじゃない』
そんな中身を持たない恋など恋とは呼ばないと言えなかったのはきっと、自分のこの気持ちに自信がないからだと冬麻は一人、頭を抱えた。
胸は依然締め付けられたような痛みを伴ったままで、どうしようもない。
泣きそうになって、周りを見渡せばとっくに皆は帰ってしまったようで一安心した。
机に突っ伏して目を閉じれば、冬麻は今日何度目になるか分からない眠りに落ちて行った…一。
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