Reportage1

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 群がる人だかりを避け、通り過ぎようとして、街では見かけた事のない青年に気づいた。  人だかりはその青年を囲むようにできている。  背が高かった。  髪は短くて、栗色で、明るい色だなと思ったのをミントは覚えている。  笑顔が優しくて、裏のない誠実な印象を与えた。着ている服装は高級感があった。  今思えば、とミントは思う。  何気なく見ていたら、その青年と目が合ってしまった。  ただそれだけの事。  目が合っただけ。  彼の瞳は金色だった。  日の光に反射した瞳はトパーズの宝石みたいだった。  その瞳を細めて、眩しそうにこちらを見ている。  今思えば無視して歩き出していればよかったと、ミントは少しだけ後悔していた。
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