447人が本棚に入れています
本棚に追加
明るい栗色の髪と鼻筋の通った凛々しい横顔。
この瞬間が一番ドキドキする。
「――いい加減諦めたらどうだ」
面倒くさそうに彼は言う。
ミントの方には決して目もくれない。
素っ気ない言葉だけをくれる。
でも、本日彼の元に訪れてようやく貰えた言葉だ。
それだけでもミントには嬉しい。
「知ってるでしょ。私は諦めが悪いの」
腰まで届く金髪を払いながらそう口にする。
彼はため息を吐いた。
先程まで熱心に執筆していた書類らしき束を纏め始めた。
どうやら仕事を終えたらしい。
「何度来たって同じだ。諦めろ」
「子孫を残すためだもの。そう簡単に諦めないわ」
彼は椅子から立ち上がった。部屋の中央よりやや壁際のソファーまで移動する。腕を伸ばし身体をほぐした後、ソファーに腰掛けた。
ミントは窓に視線を移した。
レースのカーテンが風に揺れている。
空は冴え渡った青空だ。
最初のコメントを投稿しよう!