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彼は独り言のように続ける。
「高潔な子孫を残すために子供が欲しいなんてな。本当、とんだ奴に好かれちまった」
「別に、好いてなんかない」
言ってしまってからミントは後悔した。
会話を切りたくなくて、考えもしない言葉が出てしまう。
「――魔女なんて謂われるわけだ」
そう呟いたきり、彼は黙ってしまった。
こうやって彼との距離は遠ざかってしまうんだ。
気持ちも告げられないまま、さらには誤解されたまま――。
小枝の雀が仲間と落ち合って飛んでいく。
さえずり声は聞こえるのでまだ近くにいるのかもしれない。
青空は澄んでいる。
空を眺め、ミントは思考に耽った。
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