Reportage1

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 彼の言う高潔な子孫を残すというのは事実だ。  ミントの一族が先祖代々から慣わしている事。  けれど、好きでもない人の子供が欲しいなんて思わない。  どれだけ有能でどれだけ身分が高くても、好きでもない人に抱かれようなんて思わない。  心の底から愛せる人じゃなければ嫌だ。  それは当たり前の事だし、人なのだから、とミントは思う。  ただ、いつの時代になっても街の者は考えを改めなかった。  高潔な子孫を残す事、好きでもない相手の子を育てる事、そういったしきたりを続けるミントの一族を、街の者は白い目で見てきた。  それは忌むべき事のように――。  その謂れもあって、ミントの一族は『魔女』と呼ばれるようになってしまった。
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