Reportage1

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 ミントは部屋を出た。  振り返るとシオンが扉を閉めているところだった。  扉が閉じる寸前、女の声が聞こえた。 「お父様がこっそり教えてくれましたの」  そういえば、いつになく嬉しそうにしていた女の様子を思い出した。  特に聞き耳を立てるつもりもなかったのだけど――。 「決まりましたわ。婚約が」  え――?  ミントは思わず声を上げていた。  続いて、穏やかなシオンの声が耳に入り込む。 「婚約? 婚約式の日取りじゃないのか?」  ――こんやく、しき? 「ああそうでしたわ。やだ、私ったら」  女は恥ずかしそうに笑っている。 「婚約はもう決まっていましたわよね。そう。婚約式の日取りです」  扉が小さな音を立てて閉じた。  それはもう。  シオンとの関わりを完全に閉ざされたようだった。  部屋の外にいるというのに二人の談笑も混ぜた笑い声が、いつまでもミントの耳には残っていた。 .
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