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「ええなぁ、鍋…。いろんなモノ入っててうまいもんなぁ」
いつの間にか目を覚ました子供がうっとりした表情でよだれを垂らしている。
自分がその具材にされそうになっていたとも知らずに…。
「…っち…具材が起きたか…」
「………。」
思いもよらぬ会話の侵入にも全く動じず本気か冗談かわからない男に、要はもう何も言わなかった。
「目が覚めたんならさっさと帰れ」
代わりにすっかり鍋を食べる気でいる子供に非情な言葉を投げた。
「ひどいなぁ。オレあんたの喧嘩にまきこまれた被害者やで?ご飯くらいええやん」
『………。』
なんとも鈍臭い…不運な…否、気の毒なこの子供に、二人はなんとも言えず冷ややかな視線を送る。
どうやら通りすがりの喧嘩を見学中、要にやられた一人に押しつぶされ、なんとか要の足にしがみついたらしい。
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