はじめに

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「こんにちは」 「おっ、拓真くん。どうしたの」 「あのね、こいつを森で見つけたの。母ちゃんが狐じやないかって言って、姫宮のおじちゃんに見てもらえって」 「えっ、ちょっと見せて」 「確かにこれは狐だねぇ。なんか様子がおかしい。ちょっと診察してみよう。」 「まぁ、拓真くんじゃない。いつ来たの」 「あ、おばちゃん。こんにちは。今来たんだョ」 「あら、この狐(コ)どうしたの」 「森で倒れていたらしくてね」 「それは大変。何とかしてあげなくちゃ。」 「うん、真琴も拓磨くんも手伝ってくれるかい。」 お隣の姫宮夫妻は子供がいなかったので、拓真をとても可愛がってくれていました。 ご主人の宏也さんは動物学者で大学の先生もしています。 奥さんの真琴さんは宏也さんの大学で助手をしていたことが有って結婚したようです。 応接間のソファーに狐を寝かせ、診察の準備を始めました。
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