菖蒲ーアヤメー 《昔語》

3/7
前へ
/17ページ
次へ
ーーーーーーーー 「晴明、大変よっ!」 よく通るが、晴明にしか聞こえる事のない声が、仕事場に響いた。 「太陰、いつも、ここには来るなと言っているだろう?」 「あーもー、それどころじゃないの!」 「太陰?」 震えて、なかなか話をしない太陰を見兼ねてか、傍にいた勾陣が姿を現す。 心なしか、取り乱しているようで、彼女が取り乱しているぐらいなのだから、よっぽどの事なのか。 「晴明、若菜が帰って来ない」 「・・・何?」
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加