菖蒲ーアヤメー 《昔語》

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市へ買い物に行ったっきり帰って来ないのだという。 「若菜の警護は、太陰、玄武。お前たちに任せていたはずだが?」 「・・・ごめんなさい」 「すまない、晴明」 「なぜ、離れた?」 普段は見ない、主の厳しい表情に、太陰は涙目になっている。 「若菜が・・・」 ーーごめんなさい、ここからは一人で行くわ。 人通りもあるし、一人がいいから・・・ 「・・・・・・、」 「そう言われて、ついて行けというほうが、これたちには酷な話だぞ、晴明」 勾陣が言うように、若菜が神将達を嫌っている事は、分かっていたはずだ。 「分かっている。若菜を探すぞ」 分かってはいるのだ。だが心がついていかない。若菜に万一の事があったらと思うと、気が気ではない。 「・・・あなた、どうなさったの?」 ・・・・・・!?
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