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「スー」
「クラはダメだねー。次フルート」
「はい」
「スー」
聞こえるのは息だけ。
いろんな楽器を吹かしてもらってはいるのだが、今だに一つも音がでない。
「木管全滅かぁー」
木管のパートリーダーの田中綾先輩がつぶやいた。
「すみません。」
「いやいや、しかたないよ、初心者なんだから。」
う゛っ
初心者って言葉が重くのしかかる。
「じゃあ金管にいこうか」
「・・はぃ」
あたしは自信を無くしていた。
そこに、教師が声をかけてきた。
「田中、何してるんだ。」
「みっ宮本先生!一年生の楽器を決めてるんです。」
「ああ、例のコか。田中は課題曲の練習しとけ。ソロがあるだろ。余裕なのか?」
「い、いえ。でもこのコはどうすれば。」
あたしやっぱ邪魔なのかな帰ろーかなぁ
「俺がみる」
「わかりました。よろしくお願いします。」
え?
あ、顧問の先生か
え!
先生じきじきに?
「じゃあアカネちゃん、またあとで」
えぇー!
「行くぞ」
「はっはいぃ!」
あたしは不安と緊張でいっぱいだった。
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