第十章

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ハルトが振り向くと、 そこにはエリカの弟のアキラが居た。 「あぁ…。お前か」 声の主を確認すると、 ハルトはまた桜に目を戻した。 「アンタも、色々大変だな。…アンタの友達…の事聞いたぜ?姉貴も家で泣いてた」 アキラはハルトの隣に立ち、 ポケットから何かを取りだした 「これ、姉貴から。」 「写真…?」 それは、江ノ島に行った時の展望台で撮った1枚の写真だった。 「姉貴曰く、これしかみんなそろって撮れた奴がなかった…。らしいですよ」 ハルトはその写真を見て 胸に引き寄せた。 「ユウジ…」 ひとひらの桜が地面に落ちると同時に、ハルトの涙も地面に落ちた。
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