夏休み・無人島

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「なあ…今から犯罪を行おうとする奴の心境ってさ…どんな感じだと思う?」 「へっ…俺たちとおなじだと思うぜ…」 さて、さっき過去形だったから分かるように、俺と誠はおそらく白浜と明海が通るであろう場所でスタンバイ中だ。 木の影に隠れながら待ち伏せてる訳なんだが… なんかこう、“いかにも怪しい人”みたいになってるはずなんだよな… しかもやろうとしてることが…ねー? 「なあ誠…訴えられたりしねーよな…?」 「いや…ないだろ。漫画でなら“おっと滑ったパイタッチ”なんて日常茶飯事だぜ?」 「漫画と比べるってのも…」 おっと、お前らも漫画じゃねーかみたいなこと思ったそこの君。 俺たちから言わせりゃこっちがリアル、そっちが漫画… つまりどっちが2次元かなんて分かりもしない! 「お、来たぞ!」 「え?」 俺が訳の分からない哲学を頭の中で展開している途中で誠に声をかけられふと我に返った。 たしかに木陰から覗いて見ると2人組がこちらに向かって歩いてくる。 歩いてくる…んだけど… 「おい誠…なんか男女だぞ」 「え?なんだ、まだ花梨達来ないのか…」 「おい誠…男の方はなんか見覚えあるぞ」 「え?なんだ、委員長じゃないか…」 「おい誠、それってつまりどういうことだ」 「え?そりゃ隣の娘と付き合ってるんだろうよってえぇえぇえぇえぇえぇえぇ!!!」 まさか、信じがたい光景だ! あの委員長が女の子と2人…しかも女の子の方がしっかりと委員長の腕を掴んでいるときた。 …どう足掻いてもカップルです… ……… 「あれ?あの娘どっかで…」 なんか見たことあるような… 背が小さくて… ってか背が小さいだけで… 「あ、今度こそ来たぞ!」 君は人が考えているときに話し掛けるのが実に得意だなぁ。 とってもうざい。
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