6315人が本棚に入れています
本棚に追加
「おい、バルトお前また失敗したんだってなぁ」
一人の少年が取り囲まれている少年を殴る。
それに対し、殴られた少年は何も言わない。
ただ黙って睨んでいるだけ、これが少年にできる精一杯の抵抗だった。
いや、抵抗とも言えないのかもしれない。
抵抗とは本人が明らかな意志を持つものであり、それすらを放棄したあきらめの視線で少年はこの理不尽に臨んでいたからだ。
「んだ?その目は?」
それが気にくわなかったのか、少年はまた殴った。
「んだよ、頭なでてやっただけだろ?」
少年の口には笑みが浮かんでいる。
殴る、蹴る、殴る、それを繰り返すと、乗せられたのか周りを取り囲んでいる連中もバルトを殴り始めた。
殴ったり蹴ったり暴言を吐いたり、唾を吐き捨てるものもいる。
その間バルトと呼ばれる少年は何の抵抗も見せずただ殴られているだけだった。
「お前がこの学校にいること自体むかつくんだよ、親の七光りで置いてもらってるだけの存在のくせによお」
そういって、また少年は殴る蹴るを繰りかえした。
最初のコメントを投稿しよう!