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「うっ」
もうバルトの服は汚れ、所々破けそうになっている。
「どうせまた先生にイイコイイコしてもらったんだろ、この落ちこぼれ野郎」
そう言ってまた、殴った。
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辺りの日も暮れ、夕焼け色が輝くようになった頃。
「ふん、今日はこれぐらいで許してやらぁ、明日も楽しみにしてろよ?」
そう言って、少年は仲間を引き連れ帰って行った。
バルトは少年たちが帰ったのを確認した後、ぐったりしながらも、ゆっくりとだが立ち上がった。
「…」
容赦のない言葉も、理不尽な暴力に対しても、何の言葉も出てこない。
ただ、服の汚れを払い帰ろうとする。
彼、バルトの通う学校は『魔国立魔法学校エムリス』と呼ばれる超・一流と呼ばれることに何の語弊もない、そんなところである。
そこは魔法に対して秀でた才能を持つ少年少女を育てるための国が力を入れて運営しているエリート学校であった。
そのような【力】絶対主義の学校で彼のような落ちこぼれは普通入れる訳もなく、彼はとても場違いと言える生徒なのであった。
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