1980年(昭55年) 8/16

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巨人・江川卓VS阪神・小林繁 【巨人5ー3阪神】  後楽園球場の巨人ー阪神17回戦。  巨人の先発はここまで9勝7敗の江川卓投手、阪神は12勝5敗の小林繁投手で始まった。  さかのぼること約1年半前。  プロ入り浪人中の江川はドラフトで指名された阪神から、契約後わずか8時間で… 「子供の頃から憧れだった」  巨人へ無理やり移籍。  その見返りとして阪神にトレードされ“被害者”扱いされたのが、巨人のエースを張っていた小林だった。  江川のことを名前ではなく… 「あの子」  と呼んでいた小林。 「どうしても勝たなければならない試合、心の中でケリをつけなければならないゲーム」  と位置付けていた江川。  因縁の初の直接対決は、トレードから564日目、時折強く降る雨の中での投げ合いとなった。  試合時間2時間59分。  軍配は江川に上がった。  10安打5四死球と不出来ながら176球を投げて完投勝利。  三振は4つと江川にしては少なかったが、最後はルーキーの岡田彰布二塁手を3球三振に仕留めた。  登板2日前の練習で右手人差し指を打撲した小林は、雨が染み込んだマウンドで踏ん張りがきかず、変化球の制球が乱れ5回6安打4失点。  5回に江川に勝ち越しの中前適時打を打たれ76球で降板した。    
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