一章 多分救われない人達

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さぁ走れ僕! 己のままに! ……おっと趣旨が違った。 しかし走れ僕。 「……ぅおっ?」 あの風に靡く茶髪 あの真珠の様な白い肌 そして円らな瞳…… み 「音無さん……?」 明らかにうちの制服で明らかに音無深玖(ミク)。 「……誰ですか?」 怪しげな目。 そうか記憶を失ってるんだっけ。 自分の都合の良い様に。 「えっと……同じ高校なんだけど、わかる?」 「知りません」 瞬殺っ!! しかしめげるな僕。 「今田佑助(ユウスケ)っていうんだけど……」 音無深玖の表情が変わる。 よしきた。 「えっえ?」 声色も変わる。 「覚えてないかな」 好青年っぽく笑う僕。 狼狽える彼女。 「……ゆ…すけ」 「ミクちゃん」 「ゆ…」 ぶちり 「えっ?」 「きゃああああああ!!!! むきゅるきゃーーー!!!!」 突然叫びだす彼女。近所迷惑。 「み……ミクちゃん?」 がしっ 掴まれたっ 「ゆうすけくん……ゆーくん……」 「ミクちゃん?」 ゆっくり頭を撫でる。 「ゆーくん……」泣き始める彼女。 「どうしたの?」 「逢いたかった……」 素直で可愛い良い子。 まぁ、嘘なんだけどねー。 僕の胸で号泣する彼女。あ。鼻水まで拭いてる。 「ずっと逢いたかったの……!」 すすり泣きながら制服を離さないミクちゃん。 「僕もだよ」色んな意味でね。 さてまぁ閑話休題。 ってか戯言だけど一応紹介。 僕は悪漢小説……つまりピカレスク小説は好きだ。 しかし自分を悪漢と認めたことは無い。 あれだけ人を傷つけても、 僕は必要悪なのだ。 まぁ……嘘なんだけどー。
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