一章 多分救われない人達

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わたしはね 「ゆうすけくんを探してるの ゆうすけくん ゆーくん、知らない?」 『僕じゃなくて?』 「きみ、だれ?」 『僕はー…』 「ゆーくんゆーくん」 揺さぶられる。起きる。 「あぁ……おはよう」 体が起き上がらない。 「ゆーくん…泣いてたの?」 「えっ?」 手で頬を触ってみる。 涙の痕。 「いや、違うよミク」 嘘だーよっ 「じゃあどしたの」 「ほら、ミクちゃんが来てくれないから、退屈でさ」 嘘のレベル、下がったなぁ…… しかし、音無さんには効果覿面だったようで。 「ゆーくんっ!!」 「わー」ごちん。 ミクが飛び乗ってきて、頭を強打! 死にそうだ…… 「ご飯食べよ」 「えっあっうん」 僕を暗闇に残して、一人去っていく。 あーもうおかしくなりそう。 あの夢だけは嫌だったのにね。 嫌だったのにね。 ぼくは本当に僕なのだろうか。 彼女は一体誰を探してるのか。 何故、あの事件は起こってしまったのか。 僕は解決しなきゃいけないことが山ほどある。 そうだ。 あのこともか。 最近、通り魔殺人が多発している。 もう何十人と殺されてる(人間以外も含む)のに、まだ誰なのかがわからない。 いや、居ないんじゃないか。とも言われ始めている。 しかし、通り魔殺人は100%悪いとは言えない。 人間以外は含まずに、人間だけの場合なら、通り魔が殺しているのは 過去や現在で人殺し、誘拐をしてる人間。 ただの無差別殺人ではない。 警察は、通り魔を『必要悪』では無く、『絶対悪』として認識している。 しかし、それは誰にもわからない。 僕は、なにかしらの僕の知り合いなのじゃないか。と思ったりしている。 いや、確定してる。 第一容疑者 音無深玖。 しかし、もしミクが犯人でも、だから何?って感じ。 僕の邪魔さえしなければ、 僕には関係のないことだし。 駄目だなぁ。この性格。直さなきゃねぇ。 「ゆーくんゆーくんゆーくんっ」 ミクに呼ばれた。 よく見たら、足枷が取れていた。 さぁ、行かなくちゃ。
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