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元気良く家を飛び出した里央にくっついて、ドアをくぐる。
里央の朝のスケジュールは結構タイトで、駅までは毎朝軽いジョギングになることを、一緒に登校までするようになって最近知った。
10分も走らないけどね。
それと言うのもオレとの別れを名残惜しんで、遅刻ギリッギリの電車にこれまたギリッギリで間に合うかどうかって時間に家を出るのが、里央の習慣になっちゃってたから。
行ってくるのだとキラキラ笑顔でドアを閉めた後、里央がこんなハードな運動をしてただなんて、オレはつゆ知らずってヤツで。
申し訳ない気分になると同時に、ちょっとばかり嬉しくもあった。
オレとの名残を惜しむ必要がなくなった今もスケジュールに変化なしってことは、これはこれで里央の性に合ってたんだろうけど。
たまに里央はチラって感じでオレを振り返っては、安心したように微笑んで見せる。
無意識だろうその動作がオレを喜ばせてるって、きっと里央は知らない。
だからオレはわざと、里央の少し後を行く。
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