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「あ……」
青ざめた表情から、彼が受けた衝撃の重さが伝わってくる。
頭を上げた里央は、まっすぐに彼を視界に捉えた。
「あたしには、付き合ってる人が居るのだ。彼意外のことは、考えられない。だから、ごめんなさいなのだ」
その内の何割かはオレのためでもある里央の言葉が、切ない波になって、心に滑り込んできた。
里央がそう、誓ってくれるのは嬉しい。
だけど、今日始めてオレの前に現れた彼の痛みも、叶えられることのない彼の想いを悼む里央の哀しみも、やっぱり痛い。
イレギュラーなオレが、レギュラーな2人を、断ち切ってしまうわけだから。
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