アンタなんかに負けねぇし。

12/19

16人が本棚に入れています
本棚に追加
/96ページ
「泣けてくるほど好いてもらえて、嬉しいぞ。ごめんな。でも、ありがとう」 ガチガチに肩を強張らせていた力が抜けて、彼はふぇと嗚咽を漏らした。 涙がセーラーの襟を濡らすのも、遅刻を告げるチャイムが鳴るのも、これっぽっちも気にかけずに、里央はヤツを抱きしめてた。 ヤツの嗚咽が少しずつ落ち着き始めた頃、里央はまっすぐ、オレを見た。 後ろ暗さなんて微塵もない、オレが許すことを信じきってる瞳。 オレの中のどす黒い感情の束を、あっさり浄化させてしまう。 あぁもう、ほんと里央には、敵わない。 苦笑は、自然と零れた。 いいよ里央。 里央は自由に、生きればいい。 したいことを、すればいい。 したいように、選べばいい。 どんな里央も、愛しててあげるから。  
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加