隠し事は、上手くは行かない。

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里央の治療が済んだあと、オレのパニクりかけてた気分までちゃっかり治療してくれて、話しをしようと、真琴は誘った。 「その子、毎日連れてくるのかな?」 穏やかな問いかけに、里央は一瞬迷って、頷いた。 「翔が来たいって言ってきかないのだ。ほんとはお家に居てほしいのだ」 あちこちに憑いている、性質の悪いご同業に引きずられてしまうんじゃないかとか、里央はあれこれ考えてしまうらしい。 オレはあーいう風になるよりも里央の傍に居ることに意味を見出してるから、そんな心配いらないんだけどさ。 真琴への事情説明のていで送られてくる抗議を気にする素振りも見せないオレに、真琴はなら仕方ないねと微笑んで。 「きいちゃんに、気をつけて?」 そんなセリフを、放ってよこした。 「きいちゃん??」 こくりと小首を傾げた里央に、あちゃーという風にこめかみを掻いて。 「数学の、巫浄 祈一琅(ふじょう きいちろう)先生」 わかるように、言い直した。 「数学って、今ウチのクラス、数学なのだ」 ちょうど巫浄先生の授業だと明かして、不安げに真琴を覗き込んだ。 「だから、引き止めたんだ。きいちゃん、実家が神社でね。幽霊退治が趣味なんだ」 なんつー趣味だ……。悪趣味にも程がある。 だけど里央は、 「先生に趣味なんてあったのだ……」 妙なところで感心していて。 どうやら巫浄とは、趣味にいそしむ姿が想像出来ないタイプらしい。  
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