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「やっぱり翔、お家にいるのだっ!!」
やっぱりと言おうかなんと言おうか、里央は嬉々としてそう提案したけど。
『ぜ~~ったいヤだっ!!』
オレはそう突っぱねた。
だけど、これは流石に分が悪い。
里央の反対は元からだとしても、真琴にまで大人しくしてろなんて説得されたら。
里央のくだけた様子からしても、真琴が里央を名前で呼ぶところを見ても、2人はそれなりに打ち解けていて、つまり真琴は十中八九里央の味方で。
しかも今は、実際に祓われてしまうかもしれない危機でもあって。
そんな危険を冒す必要はないだろうといわれたら、それ以上ごねるのは難しいに決まってる。
里央と離れたくないからだけじゃ、存在をかけるのはバカらしいだろうって、諭されてしまう。
だけどもう、時間がなかった。
あぁそうさ、認めるよ。
オレはもう、そんなに長く、この世に留まっては居られない。
だから、少しでも長く。
里央の傍に、居たいんだった。
離れなくていいように、うざったいぐらい近くに、くっついて居たいんだった。
そのために、必死になってもがいてる。
「ねぇ翔くん、きいちゃんに見つかると危ないって、わかってくれる??」
心配そうな眼差しが、悪いが今は悪魔のそれに見える。
倒さなきゃならない、敵なんだ。
真琴はきっと里央みたいに、泣き落としや可愛い顔なんかじゃ絶対誤魔化されてくれない。
わかってくれる?との問いかけにかぶりを振ることも出来なくて、素直に頷いた。
ただし、警戒心むき出しに、ほんのちょっと頷いたって程度に。
「それなら……」
お家で大人しく待ってられるね。
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