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「いい子にしてたのだ??」
心配顔の里央の登場だ。
『オレさまがいい子じゃないことなんてないじゃない』
「翔は自分で思ってるほどいい子じゃないのだ」
これ以上なく鋭い切り返しに、オレはむくれるしかない。
くすくすと、おかしげに真琴が笑った。
「早く戻らないとホームルームに間に合わないのだ。終わるまで真琴ちゃんと一緒に居るのだ?」
『やだよ!!』
真琴と一緒に居るのが、じゃなくて、里央とこれ以上離れてるのが、ね。
答えなんてわかってるだろう問いかけに力んで応えたとたんの、ふわりっていう笑い方は、はっきり言ってズルイと思う。
春の木漏れ日みたいに優しくて、少しばかりくすぐったい。
あたしのこと好き?
うん、好きだよ。
みたいな会話をしてみちゃった面映さって、言うかさ。
オレたちってばちゃんと、繋がってるのね。
里央の愛も、オレに向けててくれるのね。
そんな、安心感。
「じゃあ、また明日ね」
真琴に見送られて、連れ立って保健室を後にした。
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