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里央がオレを見てる。
里央がオレを、見てる。
「なに、言ってるのだ……??」
震えて、泣き出してしまいそうな。
「幽霊なのに、死んじゃうなんておかしいのだ」
耳に、痛い。
「ねぇ翔、ウソなのだ。でたらめ言うなって、怒らないとダメなのだ」
胸が、痛い。
「翔はずっとあたしと居るのだ。翔は消えたりしないのだ」
淡々とした声音が。
「ウソなのだ。だって翔の心残りはあたしだから、成仏なんか出来ないんだって、翔いつも言うのだ」
余計に、哀しい。
「翔は……」
言い聞かせるような声音が無理をはらんで、呼吸に失敗したみたいにひゅっと細く喉が鳴って。
里央は、気付いてしまったんだった。
里央の中でピースが、繋げたくなんかなかったピースが、1つに繋がってしまったんだった。
賢くて、鋭い女の子。
オレがやたらと、くっついて居たがったのも。
最近妙に、疲れていたのも。
言いつけを破って、迎えになんか来るようになったのも。
果てには、学校にいる間中も離れなくなったのも。
真琴までもが、一緒に居ることに協力してくれたのも。
サヨナラの、ためだった。
全部全部、最期の日のための、準備だったんだって。
「ウソだっ、ウソなのだ!!ウソって言うのだっ、翔、翔ーーー!!」
真っ青な顔でカタカタ細く震えてる、愛しくてたまらない女の子に言ってあげられるのは。
『ごめんね、里央』
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