だって、好きだから。

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あぁ、やっぱり綺麗……。 隣を歩く桜子に向ける笑顔が優しくて、うっかりしてると見蕩れちゃう。 学ランとセーラーの山の中で、どうしても里央は目立つ。 気付いてる?気付いてよ。 オレはここに、居るんだから。 熱い想いが届いたのか、はたまた単に視線を感じただけなのか、ふっと何気なく里央の視線が流れてきた。 目を見開いて歩みを止めてしまった里央に、自分でも上出来だと思える笑顔を向けた。 とたん、里央の表情が愛らしい子猫でも見っけたみたいにふにゃんととろける。だけど次の瞬間、はっと頬の緩みを正したかと思うと、明らかに無理やりな不機嫌顔を作ってくれた。 嬉しいくせに素直になれないところも可愛いな~と思うけど、いつまでもあちらとこちらでにらめっこを続けてるわけにもいかないから。 桜子を指差して、困ってるじゃない、こっちにおいでと手招いた。 弾かれたように桜子の方に視線を戻して、里央はぺこりと頭を下げた。 きっとごめんとかなんとか、一生懸命になってる様子が手に取るように伝わってきて、なんかもう、今すぐ抱きしめたい気分。 歩き始めた2人が、近づいてくる。 吐く息の白さが目で追えるまでになって、里央たちはそのまま、校門をくぐった。オレなんか、どこにも居なかったみたいに。 チラリとも、こっちを見ないで。 ぎゅって、心臓が痛い。 桜子はオレに気付いてない。 里央は、気付かないフリをしなきゃなんない。 わかってても、ちょっと切ない。 苦笑いでツキンって胸の痛みを追い払って、門柱の上から滑り降りる。 2人を追って、後をつけた。 邪魔にだけはならないように、静かにね。  
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