隠し事は、上手くは行かない。

27/31

16人が本棚に入れています
本棚に追加
/96ページ
『ごめんね、里央』 赦してもらう、ためじゃない。 それでも赦しを請わなければ、里央の傍に居られない。 涙を拭おうと伸ばす手は、すり抜ける。 『涙、拭いてあげらんない』 自然と、声が潤んだ。 起き上がろうとする身体に伸ばす手は、役割を果たせず。 『支えても、あげらんない』 里央を悲しませる以外の何が、出来るの。 無力な方が、きっとまだマシ。 マイナスってもう、最悪すぎる。 真琴に止めてもらったはずの涙が、みっともなく溢れて。 里央は、笑った。  
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加