隠し事は、上手くは行かない。

28/31

16人が本棚に入れています
本棚に追加
/96ページ
桜の花がほころぶような、ほろ甘くて優しい微笑み。 どこか悲しいくせに、温かくてたまんない笑顔。 「翔は、傍に居てくれるのだ」 涙声が、優しく囁く。 「里央って、呼んでくれるのだ。好きだよって、言ってくれる」 なんて瑣末なことだろう。 人が聞いたら、哂うような。 「それ以上なにを、してもらえばいいのだ?」 ほんと、情けない。 なんで、慰められてるんだろう。 里央は。 離れたくないと荒れ狂う心を押し込めて。 オレのために、笑おうとしてくれてるのに。 オレは。 オレは?  
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加