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桜の花がほころぶような、ほろ甘くて優しい微笑み。
どこか悲しいくせに、温かくてたまんない笑顔。
「翔は、傍に居てくれるのだ」
涙声が、優しく囁く。
「里央って、呼んでくれるのだ。好きだよって、言ってくれる」
なんて瑣末なことだろう。
人が聞いたら、哂うような。
「それ以上なにを、してもらえばいいのだ?」
ほんと、情けない。
なんで、慰められてるんだろう。
里央は。
離れたくないと荒れ狂う心を押し込めて。
オレのために、笑おうとしてくれてるのに。
オレは。
オレは?
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