砂時計の砂は落ちる。

4/10
前へ
/96ページ
次へ
なんだかいつも以上にけだるくて、夜が闇色から藍ってぐらいに明けはじめた辺りで、記憶が途絶えた。 消えてしまうんだと悟った日以来続けてた、寝ずの里央の寝顔番に、初めて穴を開けてしまった日。 やけに必死なトーンでオレを呼ぶ里央の声に揺さぶられて、眠っていたらしいことに気付いた。 「よかったのだ……」 目の淵に雫を溜めて、里央はほうと息を吐いた。 『どーしたの??』 なんかオレ、里央を泣かせるようなこと、した?? 不安になっての問いかけへの答えは、切なげな微笑と。 「気付かないのだ?」 涙声の、優しい問いかけ。 『なに??』 里央の様子の理由に見当すらつかなくて、オレは多分相当におろおろしてたんだと思う。 里央がそっと、オレを抱きしめる仕草をしたから。  
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加