さよならは言わない。

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遊園地の入り口からほんのちょっと離れた場所に、見慣れた顔ぶれがずらり。 今日と言う日は、オレたちへのクリスマスプレゼント。 里央はと言えば、朝からずっと緊張がほぐれない。 センスはあるのに服装に頓着しない里央に、桜子というスタイリストが今日限定でくっついた。 白のふわふわタートルネックに、黒のハーフパンツと同色のニーハイソックスにブーツ。その上にボックスチェックのロングコートで、普段とずいぶん違ったイメージ。 服装がややボーイッシュな分、普段なら絶対にしないメイクまでうっすらと施されて、ただでさえ可愛い里央が尚のこと華やいで、別人みたいに見える。 そんな風に愛らしく、特別に飾り立てられた里央だから、緊張でガチガチの冴えない表情じゃもったいない。 『ねぇ里央』 呼びかけに向けられる視線の動きまでぎこちない。 『目ぇつぶって、深呼吸して』 「え??」 きょとんとする里央に微笑んだ。 『これから楽しいコト、しに行くんでしょ?怖いこと、なんもないよ?? そんなにかたくなってたら、なんも楽しくないじゃない。里央が楽しくなかったら、オレも嬉しくないじゃない』 だから、リラックス。 悲しい気持ちで今日と言う日を終えないで。 そんな願いが届いたのか、里央がゆっくり目を閉じた。 深い呼吸を繰り返す内に、里央の中で少しずつ、覚悟が固まっていくのがわかった。 再び目を開けた里央は、だいぶ肩の力が抜けていた。 「もう大丈夫、なのだ」 自身に確かめるように伝えてきた里央の、穏やかな微笑み。 『なら、よかった』  
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