16人が本棚に入れています
本棚に追加
『そんじゃ、お願いします。一思いにやっちゃって』
巫浄が頷いて、千祐も表情を改めて。
里央がほんの少しだけ、泣き出しそうな表情をしたから、大丈夫だよと笑ってみせた。
千祐と、向き合う。
傍らの巫浄が、歌うように音の列を紡ぎだす。
梵字みたいなのがくるくる躍りだして、なんて楽しい効果はないんだけど、何かが腰の辺りを取り巻いてる感触。
引きずられるような、突き飛ばされるような、やな感じ。
光の中を超高速で突っ切るような、底のない闇にふわふわ頼りなく落下するような、見てるモノが白なのか黒なのかよくわかんなくって、根底から崩される感じ。
ちぎれちゃう、砂みたいに散っちゃいそう。
里央、またすぐに逢えるよね?
世界がぼやけて、意識がトんだ―――。
最初のコメントを投稿しよう!