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見える世界に千祐が居なくて、左側に居たはずの巫浄が右側に居て、里央の横顔もなんだか向きが違う感じ。
「翔??」
不安げな呼びかけが、心持ち普段よりクリア。
「なぁに、里央。ひょっとしてこれって、成功してる??」
見開かれた里央の目に、うっすらと溜まった雫が、きっと答え。
「アンタ、やるね」
当然だろうって澄ました顔が、やっぱりいけ好かない感じ。
だけど今日ばっかりは、そんなアンタもカッコイイよ。
「里央」
ふらふらと誘われるように近づいてくる、里央との距離が近くなる。
向き直って、伸ばした手が届くぐらいの距離。そっと両手を、里央の細い肩に触れさせた。
あぁ確かに、感触ってこんなモンだった。
はっきりと、押し返される。
温もりや、形がわかる。
触ってるって、しっかり感じる。
なんだか天国で、幸せな夢を見せてもらってるみたい。
だけど里央の方がよっぽど、甘い夢の中にいる感じ。
瞳がとろんとして、表情だってほわ~っとして。
嬉しいの?里央。だったら、オレも嬉しい。
しばらくそうやって、バカみたいに見詰め合って。
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