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「ねぇ、オレってどういう風に見えてんの?見た目はばっちり千祐のまんま?」
それってなんだか悔しくない?
そう嘯くのに、里央の首が左右に振られた。
「なんとなく、ダブって見えるのだ。だけどちゃんと、翔に見えてるのだ」
千祐に被ってオレの顔があるんなら、そうとうチカチカして見づらい光景じゃなかろうか。
だけどオレに見えてるっていうんなら、ずいぶんとハッピー。
視界の端の巫浄が、ふむなんて勿体つけた声を上げた。
「なぁに、センセ」
気になって、どういう意味のふむなのかを教えろよと促せば、
「私たちには、宮に見えている」
事も無げな言葉に、里央と2人で目を丸くする。
オレを見れない桜子はそもそも物の数ではないから、たちって言うのは真琴のことで、巫浄のコメントに真琴からの異議が上がらなかったというのはつまり、そういうことだ。
里央以外には、千祐にしか見えてない。
里央にだけ、半分はオレに見えている。
まるで愛の証じゃない?
運命だって、感じちゃえそうじゃない??
とたんハッピーが跳ね上がって、3割くらいアップな感じ。
「里央ってサイコー」
コツンと頭を抱き寄せて笑うと、里央の頬が赤くなる。
さあ、デートの始まりだ。
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