さよならは言わない。

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「どうしてオレたち、磁石じゃないんだろうね」 不意の思いつきに、里央はわからない顔をする。 「ずっとくっついてられるじゃない?離れたりなんか、出来ないじゃない」 引き寄せあって引き寄せあって、どうしょうもなく惹かれあって。 一度くっついたら、自力ではもう二度と離れられないマグネット。 そんな風だったら良いのにと、願うんだけど。 「翔、やっぱり時々キザなのだ……」 そういうセリフをぽんぽん口に出来てしまう感覚がわからないと、里央は赤い顔で俯いてしまう。 「オレってばガキだから、必死なんだよ」 本気なんだって、伝えたくて必死。 身長だって、足りないし。 年齢だって、多分下。 その上幽霊っていう、埋められないハンデ付き。 それでもわかって欲しいから、ストレートに言葉を差し出すしかない。  
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