さよならは言わない。

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「ずるいのだ……」 声が震えないように、必死になって。 「ヤダって、言わせてくれないの、ずるいのだ」 しがみついてくる力強さが、いとおしい。 「いい子だね、里央」 一度、言ってみたかった言葉だ。 また一つ、夢が叶った。 チョコレート色の、繊細な髪に指を通す。 ありったけを吐き出したはずなのに、里央を愛しいと想う感情が喚きたいぐらいに溢れてくる。 差し出し切るなんて、きっと不可能なんだろう。 届ける瞬間から、途切れずに愛しさは溢れ続けるから。 あぁそろそろ、タイムリミット?? 感覚が、ほんのちょっと鈍い。  
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